
2026年3月10日(火)、人事院(〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-2-3 虎ノ門アルセアタワー )において、Copilot Studio Liteを使ったAIエージェント開発 ハンズオン研修を実施いたしました。
今回の研修はただ操作を体験するだけでなく、「実際の業務課題を題材に、エージェント作成における基本的な流れと回答精度を高めるための設計上の考え方を理解する」という実装支援型の内容です。
Microsoft 365 Copilot(有償版)をお使いの組織で「Copilot Studioで何ができるのか知りたい」「エージェントを業務に定着させたい」とお考えの方に、特に参考になる内容となっています。
目次
研修開催の背景:「使う」から「開発」へ
人事院では前回の「デジタルDay 2025秋」(2025年12月実施レポートはこちら)を経て、職員の皆様のCopilot活用への関心と理解が着実に高まってきていました。今回ご要望いただいたのは、「自分たちの業務に特化したAIエージェントを自らの手で開発できるようになること」です。
研修前に事前ヒアリングを実施し、人事院様が抱える複数の業務課題の中から「ハンズオンに適しており、かつ実務効果が見込まれる題材」を選定。研修当日に向けて弊社で事前にエージェントを開発・検証した上で、参加者の皆様が同じ工程を体験できるよう設計いたしました。

| 項目 | 内容 |
| 実施日時 | 2026年3月10日(火)14:00〜17:00 |
| 形式 | ハイブリッド(対面 + オンライン) |
| 対象 | 人事院 職員の皆様 |
| 使用ツール | Copilot Studio Lite |
| 必要ライセンス | Microsoft 365 Copilot(有償版) |
題材となるエージェントの実装ポイント
今回の研修で実装したのは、人事院様の実業務に即した組織内ルールチェックエージェントです。

組織内で定められたルールや基準をエージェントのナレッジ(参照情報)として登録し、添付された資料がそのルールに沿っているかを自動でチェックするという仕組みです。チェック結果だけでなく、「どの条件に基づいてOKと判断したか・どこが基準を満たしていないか」という根拠と、必要に応じた修正案まで出力するよう設計しました。
これにより、毎回ルールを手作業で確認しながら進めていた業務の効率化が期待できます。資料を添付してエージェントに入力するだけで、ナレッジとして登録された組織内ルールをもとにCopilotが内容を分析し、チェック結果・根拠・修正案を返すという一連の流れを実現しています。
実装のポイント①:プロンプト設計
Copilot Studio Liteでエージェントを作成する際、最初のハードルになりがちなのが「プロンプト(エージェントへの指示文)をどう書くか」という問題です。今回の研修では、このハードルを大きく下げる方法もあわせてお伝えしました。
【「やりたいこと」を伝えるだけでプロンプトを自動生成できる】
Copilot Studio Liteの「説明」欄に「こんなエージェントを作りたい」と日本語で入力するだけで、AIが自動的にプロンプトのベースを生成してくれます。ゼロから書く必要はなく、まず自動生成したものをベースに修正していくアプローチが、開発工数を抑えやすい方法です。
【精度の高いプロンプトにするための4つのポイント】
自動生成されたプロンプトをそのまま使っても一定の精度は出ますが、実業務で安定して使えるレベルに引き上げるには設計の工夫が必要です。今回の研修でお伝えした主なポイントは以下の4点です。
- 役割と目的の明確化:「あなたは〇〇の担当エージェントです」という役割定義を冒頭に明示する
- 判断基準の明文化:「〇〇ならOK、××ならNG」という具体的な条件を列挙し、AIが迷わないようにする
- 出力形式の固定:チェック結果・根拠・修正案を毎回同じ形式で返すよう指定し、回答のブレをなくす
- 出力例の提示:OK例・NG例を1〜2セット示すことで、AIが期待する回答パターンを理解しやすくなる
【推奨プロンプトの設定で「使いやすさ」を高める】
エージェントには「推奨プロンプト(ユーザーが最初にクリックできるボタン)」を設定できます。今回は利用者がゼロから入力しなくてもエージェントをスムーズに使い始められるよう、よく使う操作をボタンとして設置しました。利用者の操作ハードルを下げることが、エージェント活用の第一歩です。
実装のポイント②:ナレッジの与え方
エージェントの精度を左右するのは、プロンプトと同じくらいナレッジの質です。「とりあえず既存のマニュアルPDFを入れておけばいい」という誤解が多いですが、ナレッジの整え方次第で回答精度が大きく変わります。
【構造化と短文化が精度向上の鍵】
長い文章や構造が整っていない資料はAIが解釈しにくく、誤った情報を拾うリスクが高まります。登録前に「1ルール=1文」を意識して短く区切り、見出しをつけて章立て構造を整えることが重要です。今回はCopilot Chatを活用して既存のルール文書を「AIが参照しやすい構造」に整形した上でナレッジとして登録しました。
【具体例を含めることで解釈のブレを防ぐ】
抽象的なルールだけを登録すると、AIが条件を拡大解釈したり見落としたりするケースが生じます。「このケースはOK」「このケースはNG」という具体的な事例をナレッジに含めることで、チェックの一貫性向上が期待できます。
【ナレッジの鮮度管理も設計のうち】
一度登録して終わりではなく、ルールの改訂があった際にナレッジを更新する運用フローを最初から設計しておくことが重要です。古いナレッジは誤回答の原因になります。
実装のポイント③:公開後の微調整が定着のカギ
今回の研修では「公開=完成」ではないとお伝えをしています。ここが最も重要なポイントの一つです。
【効果検証を行っていく】
実業務で使えるレベルに引き上げるには、公開後に実際の業務でエージェントを試しながら「期待した回答と違った箇所」を特定し、プロンプトやナレッジを修正するサイクルを何度か回すことが必要です。そのため本研修では、プロンプト修正のコツを必須項目としてお伝えしました。
「期待した回答と異なる」という感覚だけで終わらせず、「判断軸が曖昧だったのか」「ナレッジに情報が不足していたのか」「出力形式の指定が弱かったのか」と原因を特定して修正できるようになること、これがエージェントを実業務で定着させる上で最も重要なスキルです。
アンケート結果:参加者の声
研修終了後に実施したアンケートの集計結果は以下のとおりです(回答数:8名)。
アンケート結果から、総じて高い満足度が得られた研修となりました。
- 研修満足度 :4.5点(5点満点)
- 内容のわかりやすさ :4.6点(5点満点)
- 今後のエージェント活用意欲:4.1点(5点満点)
参加者の感想もご紹介いたします(一部抜粋)
「エージェントを使ったことのない方への導入として、短時間で必要十分な量を習得できる研修で有意義でした。」
「AIの活用方法について、公務においても実はこんなことができるというものがもっとあるのではないかと感じています。」
「業務へのAI活用を検討するきっかけになったと思います。技術が進化し続ける中で、どうしたら業務に生かすことができるかを考えることが大切だと感じられました。」
Copilot Studio Liteとは
Microsoft 365 Copilot(有償版)のライセンスがあれば、内部ナレッジを利用したエージェントを簡単に作成することができます。プログラミング知識は不要で、「やりたいことを日本語で伝える」だけでエージェントのベースが自動生成されます。
今回の研修ではこちらの機能を利用したエージェント開発を行いました。

Copilot Studio Liteでエージェント化できる業務の代表例としては、組織内ルールや規定に基づいた書類・申請内容のチェック業務、FAQや問い合わせ対応の自動化、内部マニュアルを参照した案内・説明業務、文書の翻訳・要約・校正、そして各種フォーマットに沿った文章作成支援などが挙げられます。
「Microsoft 365は導入済みだが、Copilotが現場で使われていない」「AIエージェントを試してみたいが何から始めればいいかわからない」という組織こそ、まずは実務課題に即したエージェント開発の第一歩を体験されることをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q. Copilot Studio LiteとCopilot Studioは何が違うのですか?
Copilot Studio Liteは、Microsoft 365 Copilot(有償版)のライセンスに含まれており、追加費用なしで利用できる簡易版のエージェント開発ツールです。プロンプトとナレッジを設定するだけで自分専用のエージェントが作成でき、基本的にプログラミング知識がなくても利用できます。
一方、Copilot Studio(フル版)は従量課金制で、外部システムとの連携や高度な自動化フローの構築など、より複雑なエージェント開発が可能です。まずはCopilot Studio Liteで作成の感覚をつかみ、業務ニーズに応じてフル版へステップアップするのが現実的な進め方です。
Q. Microsoft 365の無償版(Copilot Chat未サインイン)でも使えますか?
無償版のCopilotでは内部ナレッジを活用したエージェントの作成はできず、Web情報をナレッジとしたエージェントは作成可能です。有償版との違いを確認した上で、導入をご検討ください。
Q. エージェントを作っても組織内に定着するか不安です。
これは多くの組織が直面する課題です。多くの場合、エージェントは作成して終わりになってしまうことが定着しない一因です。実業務に利用できるエージェントを試しながらプロンプトやナレッジを微調整するサイクルが不可欠です。株式会社リバティワークでは、実務に沿った内容での研修や公開後の定着支援まで含めた伴走サポートをご提供しています。
Q. 研修は何名から依頼できますか?また、オンラインでも対応していますか?
人数・形式ともに柔軟に対応しております。少人数のチーム向けから、今回のような組織全体を対象とした大規模研修まで、ご要望に合わせてカスタマイズいたします。対面・オンライン・ハイブリッドのいずれの形式にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
ご依頼から研修当日までの流れ
株式会社リバティワークへのご依頼は、以下のステップで進みます。実際の業務課題をヒアリングした上で研修を設計するため、「自社に合った内容かどうか不安」という方もご安心ください。
STEP 1|お問い合わせ・ヒアリング まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。現状の課題・利用中のMicrosoftライセンス・参加人数・希望形式などをお伺いします。
STEP 2|課題の具体化・題材選定 ヒアリング内容をもとに、エージェント化に適した業務を選定します。「何をエージェント化すべきか」が明確でない段階でもご相談いただけます。
STEP 3|研修設計・事前検証 選定した業務課題をもとに研修カリキュラムを設計します。講師側で事前にエージェントを開発・検証し、当日スムーズにハンズオンが進むよう準備します。
STEP 4|研修当日 参加者の皆様と一緒に手を動かしながら、エージェントの開発・改善・公開までを体験します。
STEP 5|公開後の定着支援 研修後も「実業務で使い続けられる状態」になるまで、プロンプト修正のアドバイスや追加サポートを提供します。
株式会社リバティワークのCopilot Studio活用支援とは

株式会社リバティワーク(〒150-0044 東京都渋谷区円山町5-5 Navi渋谷V3階 )は、「AIを同僚に。」 をビジョンに掲げ、Microsoft 365 Copilot × Copilot Studio × Power Platformを活用したAIエージェントの実装と現場定着を伴走支援しています。人事院をはじめとする官公庁から、民間企業・NPO法人まで、幅広い組織での生成AI研修・AIエージェント開発支援実績があります。
単なる研修にとどまらず、事前ヒアリングによる課題の具体化・エージェント設計・公開後の定着支援まで一貫してサポートするのが私たちのスタイルです。オンライン・対面のハイブリッド形式で全国対応しています。
「Copilot Studio Liteでエージェントを作ってみたい」「Copilot研修を検討している」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。